(のっぽ先生のペットと暮らそう!!vol.207)
今回は、猫ちゃんの「肝リピドーシス」について。
と言った方が、なじみ深いかもしれません。
しかしながら、人のような栄養過多によって、肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝とは違い、
猫ちゃんの場合は 急激な飢餓や絶食
が原因で、発症します。
詳しく説明していきます。
本来、正常な猫ちゃんでは、
食物から摂取した脂肪は、
血液中のアルブミン というタンパク質によって肝臓へ運搬されます。
そして、エネルギーとして消費されるか、
トリグリセリド という形に変えられて肝臓に蓄積されます。
肝リピドーシスは、
肝臓に過度の脂肪が蓄積することで、肝臓機能障害を起こす病気です。
特に猫ちゃんでは、体が飢餓状態に陥った時、
蓄えている脂肪を分解し栄養にしようとしますが、
身体はたくさんの脂肪を効率良く処理できず、
肝臓内に溜まって肝臓の機能障害を引き起こします。
この病気は、猫の肝臓疾患として、
🔷原因など
肝リピドーシスを発症する原因は、様々です。
肝臓病や腎臓病、腫瘍、
さらに糖尿病や膵炎などのホルモン異常、
栄養バランスの取れていない食事
などが引き金になって起こります。
特に重要な危険因子は、
肥満での過度な食事制限や、住まい環境の変化
(引っ越し・新しい家族ができる・旅行で他人の家に預けられる)
などでストレスを感じ食欲不振になることで、
3日から1週間ほど食事を摂らない状態が続くと、発症しやすくなります。
肝リピドーシスになると、肝臓の細胞が脂肪に置き換わってしまい、
肝臓が本来の動きを失うことで色々な症状を引き起こします。
食欲低下、元気消失、体重減少、嘔吐、下痢、便秘が見られ
やがて 黄疸、脱水症状、嗜眠(寝ていることが多くなる)、
意識障害、痙攣
など深刻化し、死亡することもあります。
🍀
🔷治療方法や治癒
原因が多岐にわたるため、何が原因によるかで
治療方法 や 治癒する期間 も変わってきます。
身体検査で体重の変化や黄疸の有無などチェックし、
血液検査・尿検査で現在の状況を把握し、
画像検査(レントゲン検査や超音波検査など)で、
肝臓がどんな状態になっているのかを調べます。
そもそも肝臓の病気は特徴的なサインをあまり出さないので、
早期発見は難しく、来院時にはかなり重症化している場合も少なくありません。
治療としては、
脱水症状を緩和するための点滴や、
さらに継続的に栄養を供給する必要があるので、
本来のエネルギー源であるグルコースを強制的に口に入れ、
体脂肪から脂肪を動員させる(使用する)ことのないようにします。
自分から食べてくれるまで、根気よく栄養供給し続けることが重要です。
🍀
🔷予防
予防としては、
栄養バランスの良い食事を適正量与え、体重管理に気を配ってください。
日頃から動物病院での定期検診を受けていると健康状態が把握しやすくなります。
食欲がない猫ちゃんを
「そのうち食べるだろう」、
と様子を見るのはとても危険なことです。
取り返しのつかないことになりますので、特に猫ちゃんの場合には、早めの受診をお願いします。
のっぽ動物病院
院長 永田浩之
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